アスベストと健康被害

アスベスト(石綿)とは

アスベスト被害は史上最大の労災・公害。被害は今後も数十年にわたって発生し続けます。

日用品にもアスベストが使われている

 日本では、1960~90年代にかけて1,000万トンを超えるアスベストが輸入され、3,000種類もの用途に使用されてきました。建物の耐火被覆としての吹き付け石綿、天井材などの建材のほか、水道管や自動車ブレーキ…身近なところでは、魚焼きの網やトースター、ヘアドライヤーなどにも使われていました。学校教員や文具店経営者、パン職人、杜氏など、一見アスベストとは何の関係もなさそうな人もアスベストの病気で亡くなっています。それぞれ体育館や倉庫、パン焼き釜、日本酒醸造フィルターにアスベストが使用されていたからです。

どこで、いつ吸ったか、わからない

 中皮腫の多くは職業性のアスベスト曝露が原因ですが、家庭や環境でのアスベスト曝露によることもあります。平均約40年の潜伏期間には自覚症状がほとんどないため、「どこでアスベストを吸い込んでいたかわからない」場合が結構多いのです。過去には幹線道路周辺でアスベスト濃度が10本/Lを超えた地域もあり、大気中のアスベスト曝露により中皮腫を発症する可能性もゼロとは言えません。
 知らないうちに吸い込んだ後、何十年も経ってから恐ろしい病気を発症するのが「静かな時限爆弾」それがアスベストの被害なのです。
こんな製品や職種にも・・・
歯科技工士、美容師、酒類製造、クリーニング、レンガ・陶器、エレベーター保守、セメント、スレート、ボイラー、電気工事、内装工事、配管、大工、左官、水道工事、建物解体、港湾荷役、自動車修理、鉄道車両整備、発電所・変電所、鉄鋼所、石油化学工場、造船所、ガラス製品、清掃工場、ゴム・タイヤ、映画放送舞台・緞帳、消防、石工、アスファルト、ブラウン管、天井材・屋根材・床材など
  • 石綿スレートの屋根
  • 飲み水が流れる水道管
遅れたアスベスト対策
 アスベストの7割以上は建材に使用されています。2040年にはアスベスト建材を使用した280万棟もの民間建物の解体がピークを迎えますが、行政の監視が不十分な中、すでに各地で手抜き工事が相次いでいます。
 国は抜本的な対策を先送りしており、このままでは解体作業者や周辺住民などの新たなアスベスト曝露が避けられません。
アスベスト被害は今後も増加する
 アスベストは、製品の生産・流通・消費・廃棄の全ての段階で職業病や大気汚染、商品公害、廃棄物公害を引き起こします。また、曝露から発症まで長期間の潜伏期間があるため、今後も数十年にわたって、アスベスト被害が発生し続けることは確実です。

出典:中皮腫・じん肺・アスベストセンター

アスベストを原因とする病気

 石綿(アスベスト)が原因で生じる疾患(石綿関連疾患)には、石綿のみによって生じるとされる疾患(特異性疾患)と、石綿以外の原因によっても生じるとされる疾患(非特異性疾患)とがあります。石綿肺、中皮腫、石綿胸水(石綿胸膜炎)は特異性疾患であり、肺がん、びまん性胸膜肥厚は非特異性疾患とされます。非特異性疾患については、職歴、胸膜プラークの有無・量などから、石綿に由来するものか否かが判断されます。

1. 石綿肺
 石綿肺は、石綿粉じんを吸引することによって生じるじん肺(線維増殖性変化 を主体とする肺疾病)です。粉じんをばく露した後においても症状が進行すること(進行性)、いったん発生した症状を元の状態に戻すための治療方法がないこと(不可逆性)に特徴があります。
 ばく露から発症までの期間は、最低でも2,3年で、通常は、5~10年以上、長い場合では30年以上とされます。
症状
 自覚症状としては、せき、たん、息切れ、呼吸困難等があり、症状が著しく重くなると、呼吸不全、心肺機能障害等から全身の衰弱を来たし、死に至ります。
 また、肺結核、結核性胸膜炎、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸等の合併症を引き起こすことがあります。

 石綿肺の診断は難しく、石綿被害の知識がなかったり、経験が浅い担当医の場合、石綿肺を「肺線維症」、「間質性肺炎」、「肺気腫」などと誤診されるケースもあります。

2. 肺がん
 肺がんは、肺の気管、気管支、肺胞の一部の細胞がなんらかの原因でがん化したもので、進行するにつれてまわりの組織を破壊しながら増殖し、血液やリンパの流れにのって広がっていきます(浸潤性増殖)。石綿粉じんへのばく露は、肺がん発症のリスクを有意に高めます。
 ばく露から発症までの潜伏期間は20年以上と言われています。
症状
 肺がんは、血痰、慢性的な激しい咳、喘鳴、胸痛、体重減少、食欲不振、息切れ等の症状を引き起こす他、浸潤性増殖により、全身の臓器に転移するおそれがあります。非常に予後の悪い疾病であり、5年生存率は15%以下しかありません。

 医師による職歴の聴き取りが十分なされず、石綿に起因する肺がんであることを示す医学的所見(石綿肺や胸膜プラーク)が見逃されたり、患者も医師もタバコ等が原因の肺がんと思い込んで労災申請の機会を逃してしまうケースもあります。

3. 中皮腫
 中皮は、漿膜と呼ばれる透明な膜で、肺、心臓、消化管等の臓器の表面と体壁の内側を覆い、これらの臓器が円滑に動くのを助けています。中皮腫は、この漿膜の表面にある中皮細胞に由来するがん(悪性腫瘍)です。
 ばく露から発症までの平均潜伏期間は最低10年、通常は30~40年とされます。
症状
 胸膜中皮腫の初発症状としては、労作時の息切れ、胸痛、咳・発熱・全体倦怠感・体重減少等が挙げられ、腹膜中皮腫の初発症状は、腫瘤形成におる腹痛又は腹水貯留による腹部膨満であり、心膜中脾腫の初発症状は、不整脈や息切れです。肺がんに比べてより予後が悪く、2年生存率は30%で、平均余命の中央値は15ヵ月とされています。
4. びまん性胸膜肥厚
 びまん性胸膜肥厚は、広範な胸膜の肥厚を特徴とする、非腫瘍性の疾患です。
症状
 びまん性胸膜肥厚の初期には、無症状か軽度の労作時呼吸困難にとどまることが多いとされます。しかし、進行すると、深刻な呼吸困難を呈する場合があります。また、健康な人と比べて、肺活量、努力肺活量、1秒量の有意な低下が見られます。
 肺がんや中皮腫のように短期間で死に至るケースはまれですが、症状が進展すると、在宅酸素療法の適応になり、継続的治療が必要になります。
5. 良性石綿胸水(石綿胸膜炎)
 良性石綿胸水は、別称を「石綿胸膜炎」といい、通常は片側で少量の胸水を認める病変をいいます。「良性」とは悪性腫瘍ではないという意味に過ぎず、臨床経過が良好であるということではありません。
症状
 自覚症状がないケースが半数を占める一方で、胸痛、発熱、咳嗽、呼吸困難等の症状を呈する場合もあります。無治療でも半数は軽快しますが、再発率が高く、後遺症としてびまん性胸膜肥厚を残す場合があります。
胸膜プラーク
 胸膜プラークは、「胸膜肥厚斑」、「胸膜斑」、または「限局性胸膜肥厚」とも呼ばれる胸膜病変です。胸膜プラークを引き起こす物質は石綿以外にも複数ありますが、日本においては石綿以外の影響が極めて小さいため、石綿ばく露の有無・程度を判断するための医学的所見として重要視されています。
 胸膜プラークそのものによる肺機能の低下は認められないか、認められるとしても軽微なものであるため、石綿関連疾患には含まれないとされています。

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